「長く山に入っとるとなぁ、気づいたら恋してしもとる木があんねん」
「しかも俺みたいな浮気性はなぁ、夢中になれる木って奴もころころ変わってしまいよる」
林道を一緒に歩きながら次々に出会う樹木の名前や性格を紹介してくれる森の番人に
「一番好きな木は何ですか?」と聞くと笑顔でそう話してくれました。
「木に堅でカシやろ、カシはカタイ。漢字を考えた人はえらいもんや」
「じゃあ魚に堅でカツオ。でもカツオの身は柔らかいのになんでやろって考えたんや」
「多分漢字考えたんは山の人で鰹節しか食うた事なかったんちゃうやろか」
番人と歩く森は景色と図鑑と絵本と夢を行き来しているみたいです。
「ヒメシャラなんて、名前もフォルムも色気あっていいんちがいますか?」 と聞くと
「あー、あいつにはハマったのぅ、なかなか抜け出せんだ」
「気をつけろよー」
花を見た時にそれを花と見るか、花を見た時にそれを色、形と見るかなんて事を
本で読んだ事があります。
彼には森がどんな風に見えているのか分かりませんがキョロキョロしながらおもしろい事を探す
少年みたいな目でいつも言います。
「自然にはぜーんぶ意味がある。おもろいのぅ」
写真は6月の大台ケ原。
美しいブナ林です。